
【電子版】太鼎堂便り春号 優々散歩 元気の知恵「生薬」は身近にある
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優々散歩
元気の知恵
「生薬」は身近に
今のように病院がなかったころ、当時の人にとって「自分で自分を健康にすること」は当たり前の感覚でした。
身近な草木で薬になるものや、摂取すべきものを知恵と工夫で見つけて使っていました。
「漢方薬」の元である「生薬」は、意外と身近に存在しています。
今回の優々散歩は、当時の人たちの知恵の結晶を参考にしつつ、身近にある「薬になるもの」を探して歩いてみました!
茵陳蒿(インチンコウ)-カワラヨモギ
河原や海岸など、日当たりのよい砂地に群生する多年草。
“河原に生えるヨモギ”ということから「カワラヨモギ」と名づけられたという。
蒿(コウ)はヨモギ。茵陳(インチン)とは、「古いものから新しいものが生まれる」という意味。
冬を経ても枯れず、古い茎から新しい芽が生えている様から来ています。
コア真正双子葉類 キク類 キキョウ群
漢方薬方の繁用生薬の一つ。現在は日本産がほとんど。
【薬効と使い方】 夏から秋にかけて刈り取り、乾燥させて使う。
消炎、利尿、利胆に用いる。
肝炎、黄疸、蕁麻疹、浮腫に1日量10~20gを煎じて服用し、
肝炎でからだがかゆいときは、煎汁で洗ってもよいとされている。
【漢方】茵蔯蒿湯(黄疸・肝炎・蕁麻疹)や茵蔯五苓散(黄疸・発熱・口渇・小便不利)など
見つけたヨモギはこちら↓
下末吉公園の入り口にある花壇で発見!
新緑の時期にはさらに生えていそうです。
車前子(シャゼンシ)-オオバコ
日本や東アジアに広く分布し、踏みつけに強い多年草です。
食用としても知られ、万葉集で「若菜摘み」や「春菜摘み」に詠まれています。
葉が大きいため「大葉子」と呼ばれ、車前の名前は道端や牛馬の足跡に生えることから来ています。
また、花茎を絡めて遊ぶことから「相撲取り草」とも呼ばれています。
コア真正双子葉類 キク類 シソ群 シソ目 オオバコ科
鎮咳、祛痰薬の原料として多く消費されている。現在日本で用いられるものはほとんど国産。
【薬効と使い方】
成熟したタネを「車前子」とよび、消炎、利尿に用いる。
慢性便秘には、種子をゴマ和えのようにして食べる。
利尿、下痢止めには車前草を煎じ服用する。
祛痰には車前子又は全草を煎じ服用する。
民間では腫れ物に生葉をあぶって患部に貼ったり、ヘラオオバコの葉を肺疾患や膀胱炎に、種子を緩下薬として用いている。
一般に利水作用はタネの部分、清熱・祛痰作用は葉の部分がすぐれているとされる。
【漢方】牛車野気丸(口渇・腰痛・夜間頻尿)、五淋散(残尿感・排尿痛)、
清心蓮子飲(残尿・排尿痛・頻尿)、明朗飲(充血性眼病)、竜胆瀉肝湯(排尿痛・残尿感・こしけ)など
河原、公園、街中…
いたるところで見られました!
時期的にまだタネはついていませんでした。
これから春にかけてが楽しみです
【スーパーにも生薬】
陳皮(チンピ)-ウンシュウミカン
皮を干したものを、カゼの初期や軽い気管支炎胃の調子を整えるためにつかう。
乾姜 (カンキョウ) -ショウガ
辛くて歯を噛み締めるという意味で「はじかみ」と呼ばれていた。体を温める作用が主となる。
【春の植物】
木蘭(モクラン)-モクレン
モクレン(シモクレン)は中国南西部原産の紫色の花の落葉低木で古くに日本に渡来。
中国名辛夷・紫玉蘭・木蘭・桂蘭ともいう。
中国で花がランに似ていることから「木蘭」と呼ばれ、日本では江戸時代頃になるとランよりハスの花に似ていることからモクレン「木蓮」と呼ばれるようになったという。
辛夷の名の由来を李時珍は「夷とは美(イ・いぬびえ)の意味であって、その苞は初生がのようで味が辛いものだ。」と言っている。
ハクモクレンは中国原産の落葉高木で中国名を玉蘭あるいは白木蘭という。
花がモクレンに似て白色の花をつけることからハクモクレンと言う。
江戸時代に薬用に渡来したといわれる。
現在日本で流通している中国の辛夷はおもに日本のコブシの近縁のボウシュンカ(望春花)の蕾ともいわれる。
【薬効と使い方】 モクレン・ハクモクレン・コブシ・タムシバの花蕾を乾燥したものを生薬「辛夷」と呼び鼻づまり、鼻炎、蓄膿症に用いる。辛夷は特有の芳香がある。
【漢方】 漢方では①解表②通竅の作用を持ち鼻の竅を通じる要薬として鼻炎や蓄膿などによる鼻づまりのほか、風邪による頭痛に用いる。
薬方としては、葛根湯加辛夷川芎(感冒・はなずまり)、辛夷清肺湯(鼻づまり・慢性鼻炎・蓄膿症)等の薬方に配合されている。
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