
【電子版】太鼎堂便り春号 兵頭先生に訊く「東洋医学は おもしろい!」
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横浜 鶴見にある鍼灸院が
取材、編集、配布まですべて地域の方と一緒に作っている地域密着型健康情報誌です。
整理された質の高い情報を「元気になれ!」の気持ちを込めてお届けしています。
元気な毎日、安心な地域で、子どもたちが笑顔で過ごせますように!
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兵頭先生に訊く
東洋医学はおもしろい!
中医学の第一人者
兵頭 明(ひょうどう あきら)
1974年 中国・北京中医薬大学に進学。
中医学を学び、1982年に中医学士の資格を取得。
帰国後、長年にわたり中医学の教育と臨床支援に携わる。
現在は、学校法人衛生学園中医学教育臨床支援センター長、天津中医薬大学の客員教授、日本中医薬学会理事や日本伝統鍼灸学会顧問、介護業界への参入など活躍は多岐にわたる。
東洋医学界のレジェンド 兵頭 明先生に、ズバリ[東洋医学の面白さ]についてインタビューさせていただきました!
医療や介護業界との連携など、幅広く東洋医学の普及啓蒙をされる兵頭先生。
東洋医学を紐解くキーワード[正気]の重要性について伝えてくださいました!
【中国伝統医学の核心「正気(せいき)」の力】
健康力、自然治癒力、レジリエンス(回復力や復元力)、ホメオスタシス、免疫力、抵抗力…。
表現は違うけれども、お一人お一人の持っている力を東洋医学では一言[正気]とまとめています。
留学先で出会ったあらゆる名医たちにも、「これが一番大事なことで、本来持っている力をどういう風に引き出すかなんだ。これだけは忘れるな。」と伝えられました。
症状一つ一つに対処するのではなく、正気の力をうまくコントロールすることができれば、全てを引き出すことができます。
それをできるのが東洋医学の魅力です。
[正気]は、飲食がとっても重要。
消化吸収して、(正気に)作りかえます。
これは成長発育を促すことで、乳幼児期~老年期全ての世代で重要です。
特に、歳をとっていくとこの力は下がりますが、緩やかに下げることができれば、健康人生百年時代になります。
【東洋医学に秘められた明るい未来】
日本は2025年問題と言われる超高齢社会。
およそ*3人に1人が65歳以上、そのうち5人に1人が認知症と言われています。
この状況をどうサポートするかは、非常に重要な課題となっています。
多くの健康問題を抱える高齢者に対して、別々の診療科がバラバラに診るのでは結局治せません。
治らないとお金だけどんどん出ていってしまいます。
ところが、正気の力を大事にすれば元気で歳を取ることができます。
財源というのは、こういうところから生み出さなきゃいけない。
奪い合ってもだめでしょう。
社会的な課題を解決する糸口は見えているんですよね。
その核心になっているのが[正気の力]ということなんです。
*国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」にて65歳以上の人口は全体の約30%とされている
【超高齢社会における正気の力】
[医師のための中医学セミナー]など、医師への講義もさせていただいているのですが、とある大学教授から「中医学は総合診療科」と言われたことがあります。
「だからこそ、どんな質問にも答えることができ、どんな科の医師も集まるんですよ。」と。
困っている人を助けたいという思いは共通してあります。
ただ、ご自身の専門で解決できない問題がある。
一緒にやることによって解決できればすごく嬉しいじゃないですか。
これが、伝え続ける原動力になっています。
日本はいま、認知症と軽度認知障害の方を合わせると千万人を超えます。
現状、*軽度認知障害の医療介入後の改善が16〜41%のところ、東洋医学の考え方やツボを使った介入を加えることで、70~80%の人が正常に戻ることが出来たら素晴らしいですね。
その可能性を秘めている[正気]と[ツボ]を全ての医療専門職種の共通言語にしてほしい。
WHOがツボの名前と位置を標準化したことで、世界中でツボは共有できるようになりました。
つまり、医学の常識になったということです。
東洋医学は、未病治というものを一番重要視しています。
自分の体は自分でツボを使って健康管理できます。
それで何兆円と浮いた分を、子どもたちのために役立てられたら嬉しい。
*日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」
【どの時代にも注目していたのは「正気」】
東洋医学には[五臓]というものがあり、体の働きによって肝・心・脾・肺・腎と分けたものがあります。
五臓は時代によって弱り方が違います。
飢饉や自然災害、戦争などで食糧難があった時代には[脾]が弱り、現代のストレス社会では[怒り]の感情を担う[肝]が弱ります。
さらに、超高齢社会である日本では生命の大元のエネルギーを持っている[腎]が弱ります。
これは、正気のトラブルが何にかかっているかの違いです。
例えば、留学していた1970年代の中国には、アトピー性皮膚炎や花粉症はほとんどなかったんです。
それが、ある時から中国でも多発しました。
ちょうど冷蔵庫が普及したときでした。
冷えによる[脾胃]の弱りだろうと私は考えています。
正気のトラブルが一つでくるか、二つでくるか、トリプルでくるか。
これが問題なんです。
複雑化してくると、難病など非常に複雑な病気が出てきます。
先ほど言ったように、日本は3人に1人が高齢者。
つまりは3人に1人は腎が弱っている状態なんです。
だから、そうならないように腎をサポートするという解決の糸口も一緒に見えてくるんです。
新型感染症においても、同じことが言えます。
どのように影響を受け、進行していくのか、 法則さえわかってしまえば先手を打つことができます。
患ったとしても軽症で済ませることができる。
*邪気が勝つか、正気が勝つか。
正気の消耗が激しければ扶け(扶正)、邪気を取り除きます(去邪)。
同じ環境の中にいても、正気の力の違いが結果を左右します。
時代的な背景によって、東洋医学はいかようにでもアレンジできる。
いかようにでも生かすことができる。
ここ大きなポイントなんです。
*からだを悪くする原因になるもの。病原性の細菌やウイルス、気候の変化も含まれる。
【東洋医学は
心と身体を同時にキュア&ケアできる】
ちゃんと気づき、早めに対応する。
そうすることが、あなたのため、ご家族のため、会社のため、ひいては社会のためになります。
あなたはなくてはならない存在。
自分を大事にしましょう。
ちょっと身近なことを知っておくだけでも予防医学につながります。
ちょっとした気づきなんです。
文責:ゆうちゃん先生
取材:さや、坂本、中川
【コラム:“ベロ”をみると体がわかる】
東洋医学は全身から体の状態を読み解きますが、ベロもそのうちの一つです。
色や形、表面に生えるコケ(舌苔)を診断材料にして体の状態を診ていきます。
◉健康な人の舌
・淡紅色
・適度に湿って大きさの揃った舌苔(コケ)がついている
・張りがある(力なくダラっとした状態ではない)
歯形がついてるランナーは完走できない?!
舌の縁に歯形がつくのは、張りのない証拠です。
東洋医学では「気の不足」といい、これは体力が低下しています。
風邪を引きやすかったり、ちょっと動いただけで汗をかきやすくなっています。
マラソン選手のコンディションも舌でわかりますよ。
この場合、体力がなく途中でバテるし、発汗過多で足が攣ります。
駅伝でタスキ、繋げられなくなっちゃいます。
ちゃんと食べて気が補なわれてくると、普通の舌になりますからね。
パワーがある(気が充実している)ということは、張りがあるということなんです。
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「兵頭先生の話、おもしろい!」と思った方におすすめの一冊
『徹底図解 東洋医学のしくみ』
兵頭 明 新星出版社
鍼灸学校1年生や一般の方々にも東洋学の面白さを伝えるために作られた一冊。
16年間改訂なしで愛され続けるロングセラー!
正気の話やベロについても、より深く知ることができます。
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